530(50)から、もしくは428から520へチェーンサイズを変更する場合、選択できるスプロケットにはAFAMとSUNSTARがある。
SUNSTARのサイト
http://www.sunstar-kc.jp/
にある資料によれば、元が1987年までの530からコンバートする場合と、それ以降の428からコンバートする場合、リアスプロケット(41〜44)は同じだが、フロントがそれぞれ品番333と398と異なるものが指定されている。
SRのリアスプロケットは純正の場合でも、リアハブダンパーのスプロケット装着面より内側にせり出た位置にチェーンの内側のラインが出るようになっている。純正の530のリアスプロケットは内側も外側も歯の部分が厚くせり出ている(取り付け部が薄くなっている)ため、裏返して使っても問題はないが、428のリアスプロケットは内側のみせり出ているので裏返して使うことはできない。
前記SUNSTAR製フロントスプロケットの品番の違いは、このオフセットをどう処理するかによって異なる選択があることを意味している。
両者に共通して使われるリアスプロケットは片面のみせり出しがある。333のオフセットなしのフロントを使う場合は、リアは内側にせり出しができるように(刻印が外側)装着し、398のオフセットありを使用する場合はリアは外側にせり出しがくるように(刻印が内側)装着しなくてはならないので注意が必要だ。
SUNSTARのサイトには88年以降の(400ccモデル)428からのコンバートにはフロント14〜15の398しか選択肢がないように記載されているが、これはリアが44Tまでしかラインナップされていないため、400用の減速比としてはこれらがほぼ適切な範囲となるためであろう。
88年以降の新型の500cc用に旧型の333フロントを使用することは可能であり、逆に旧型に新型用として指定されている398を使用することももちろん可能である。
ちなみにAFAMについてだが、フロント520用のオフセットがSUNSTARに比べ0,1mmほど大きく、リアのスプロケットの内側が偏摩耗するケースが散見される。また、回転方向の矢印の刻印があるが、SRに使用する場合これは逆になるので注意。
AFAMのリアスプロケットは歯の部分と取り付け部分の厚さが同じなので裏表はない。
上野での所用が早く片づいたので、歩いて早稲田まで帰る。
池之端、本郷、春日、小石川、富坂、と裏道を縫うように歩いているうちに日が暮れた。4時間ほど歩いたので距離にすれば10km強といったところだろうか。
このあたりは起伏に富んだ地形が見せる変化のある風景が続く。坂や階段のある街はどうしてこうも魅力的なのか。
小石川の裏路地、日本茶を売る店の前で煙草をふかしながら空を見上げていた老人から界隈の昔の話を聞く。
目の前のそう古くは見えない石垣が戦前からのものだとか、崖の上は数軒のお屋敷しかなく広い庭が広がっていたとか、今見える風景からは想像もつかない賑わいがあったとか、空襲で全部焼けて水道橋から共同印刷が見えたとか。82歳、この街に生まれて店は彼で二代目だという。
灯ともし時、住宅と小さな印刷工場が建ち並ぶ路地で、仕事を終えたのであろう30代の男性がSRの傍らでグローブをはめていた。慣れた仕草でキックアームを出し、男性は軽いキック一発でSRの目を覚まさせる。短く軽いブリッピングをすると、軽やかで歯切れの良いノーマルのエキゾーストを響かせ彼と彼のSRは目の前の細くなだらかな坂をゆっくりと登っていった。遠ざかるルーカスのテールが温味のある灯り見えた。