SRのエンジンのメカノイズが気になりだすと誰もが頭に浮かぶのは「タペット音」だが、どうもこれを気に「しすぎる」人が多いように思う(SRのアジャストボルトは正確にはタペットではないのだが、通称としてそう呼ばれることが多いため、ここではあえてタペットという呼び方を用いる)。
1万キロ調整してないとかいうのは論外だが、ごく最近正確に調整したのに気になる、というのであれば以下の点をチェックした上で、音についてはあきらめるようにした方がよいだろう。
○いわゆるハイカムを入れている場合、音が大きくなるのはしょうがない。ノーマルに比べてクリアランスを大きくとるのはバルブステムの熱膨張が大きいためだけではない。
GARAGE-UCGを訪れてくださるレーシングメカニックのKEIさんによれば、アジャストボルトがバルブステムから離れていることによって、バルブにアジャストボルトが衝突する格好になり、それがバルブの開き始めの速度を上げる効果があるとのことだ。そんなことまで含めて、ハイカムを入れた際のクリアランス規定値が計算されているのだから、「静かにしたい」と思ってそれを詰めてみるのは明らかな間違いだということ。
以前お世話になっていたショップがこの件についてヨシムラに「大きなタペット音どうにかなりませんか」と問い合わせたところ、「音とりますか?性能とりますか?」と言われた。
より静かにしたいというのならすべてノーマルに戻すしかない、ということのようだ。
○ハイカムを入れたエンジンは多くの場合バルブスプリングもレートの高いものに交換されているだろう。そうなるとアジャストボルトがバルブの頭を「こじる」際の抵抗も増えるし、ハイカムなのだからこじる距離も長くなる。ノーマルだとアジャストボルトの摩耗はたいてい丸か小判型の削れ痕となるのだが、ハイカムを使用していると場合によっては進入禁止の道路標識のような形に削れている。ハイカム仕様のエンジンならアジャストボルトは調整するものではなく交換するものだと考えた方がよい。
○減るのはアジャストボルトだけではなくバルブも同様だから、調整時には必ずバルブのアタマもチェックすること。
おおきなのっぽの古時計 おじいさんの時計
百年いつも動いていた ご自慢の時計さ
おじいさんの生まれた朝に かってきた時計さ
いまはもう 動かない その時計
百年休まずに ちくたく ちくたく
おじいさんといっしょに ちくたく ちくたく
いまはもう 動かない その時計
真夜中にベルが鳴った おじいさんの時計
お別れの時がきたのを みなに教えたのさ
天国に上るおじいさん 時計ともお別れ
いまはもう 動かない その時計
古道具は時計だけじゃない。オートバイだっていいんだ。