2004年10月14日

じょいんと

現在各種作業は早稲田のウガレージならびに大田区糀谷のGARAGE-UCGで行っています。
GARAGE-UCGはその筋ではすでにとっても有名なアツい修理屋兼中古車販売店です。
XSやSRの修理・調整以外に、どんな車種でも対応しています。
GARAGE-UCGにおいては今後パーツ製作なども手がけていく予定です。

宇賀礼二は基本的に毎週土曜日は大田区にいることになっており、
その他平日はメール等でご確認いただいた上で早稲田のガレージで作業することにしています。
メールは右の欄の一番下に

…だったんですが、10月後半以降もっぱら早稲田に引きこもり作業中(汗

投稿者 uga : 20:14 | コメント (12)

2004年10月10日

041010

 わたしの最も敬愛する人が歌うコンサートを聴きに府中へ行く。
 その帰り途、霧雨の中、昔を懐かしもうと府中駅前をうろついた。高校時代毎日のように仲間とたむろしていた喫茶店を訪ねてみたくなり歩いていくと、そこは店どころか「丁目」まるごと消え去り一店のデパートと化していた。二十数年ぶりだったから無理もないことなのか。とくに感慨もないまま国分寺行きのバスに乗る。
 着いた国分寺も府中と同様だった。どこかで一杯ひっかけずには済まない気分になってぶらぶらしているうち、気がつくとこれもまたなつかしい喫茶店の前を通ろうとしていた。北口からわずかのところにある名曲喫茶「でんえん」である。
 世の中のことを何も知らず、ポケットに百円玉が数個あるだけの高校生が半日過ごしても文句を言われるどころか、初老の店主はクラシックの名盤について言葉少なに手ほどきしてくれた。セブンスター一箱とコーヒー一杯分のカネがあれば、カネで買えないいろんなものを授けてくれたのがこの店だった。
 果たして今日、当時とほとんど変わらぬ姿でその店はそこにあった。店主は二十年以上前に他界してしまったが、そのお連れあいが続けてくれている店は、調度も雰囲気も当時のままだった。懐かしさだけではない居心地の良さに、気がつくと閉店時間を過ぎてもぼうっと座っていた。
 当時容易にはLP版を買えなかった高校生は、家ではLL学習用カセットレコーダのたった一つのスピーカが鳴らす交響曲を聴いて脳みそをぐりぐりかき回され、涙と鼻水の垂れるまま放心するのが快感であった。そういう音楽の聴き方を初めて知ったのが「でんえん」の店内である。「オーディオに倍の金をかけたって音や音楽は倍良くなるわけじゃない」。
「主人がこの店を残してくれてよかった」と語る夫人のことばはずっしりと重い。自分にとって記念碑的な場がいまも変わらずそこにあることを感謝したが、夫人の話ではあと数年続くかどうか、とのこと。
 店を出て裏道を歩くと、再開発予定であろう空き地からエンマコオロギカネタタキの音が聞こえた。
 得難い、耳への贈り物を次々といただいた一日だった。

投稿者 uga : 23:44 | コメント (7)