2005年06月15日

050614 神田川

 昼前に目覚めたのを幸いにゆっくり雑事を片付け、このところ無沙汰していた散歩に出かけたのは陽も幾分傾いた頃。たまたま見えた淀橋を基点に川を遡ってみた。山手通りに出る前に早速手すりにもたれて一服していると、足元をスズメが跳ね回っている。近頃スズメをよく見るようになった気がするのは東京都のカラス対策が進んだということなのだろうか?

 とりあえず善福寺川と合わさるあたりまで歩くかと決める。山手通りを過ぎてしばらくの月見橋から見えるのは月ならぬ新宿の高層ビル街。どちらが趣きあるかは言を待たない。散歩中の白柴としばらく遊ぶ。

 (月見橋から東を望む)

 川が中野通りをくぐって少し行ったところが富士見町。大きな通りの近くを除けば概して閑寂なものだ。富士見町を過ぎ、しばらく行くと右手から流れ込む善福寺川を渡る「わだひろはし」。

 (橋の上から。右手に見えるのが神田川)

 ここまで来てふと気づいたのは、川沿いを歩くということは即ち地形的にはその辺りの最も低いところを歩いていることになるわけで、なるほど左右のあちこちには上りばかりの段丘や坂が見える。これが百年前ならどんな景色だったろうと妄想が始まる。富士見町というからには以前はそこから富岳が望めたのであろうことを思えば、さぞや一面畑や雑木林が広がるところだったのか。明らかに「江戸」や「東京」ではなかったろう。だがいまやそんな景色を想像するのも困難だ。周囲の草木は行政が植えたようなものばかりで整然としている。

 環七を渡って初めて川に洲が見えた。セキレイが尾を上下させながら歩き回り、立ち止まってはじっと水の中を覗き込んでいる。このあたりから少しずつあたりの土地の使われ方に余裕が感じられるようになり、小さな公園や林もところどころに見えるようになる。井の頭線の鉄橋をくぐる永福のあたりになると、ようやく農村の面影が残る景色に。昨日今日植えられたものではない木々が茂り、竹林なども鬱蒼としているところさえある。ここまで来ると陽がとっぷりと沈んだのもあり、さすがに歩いた気がして、下高井戸の書店で立ち読みを始めるころには足にだるさがやってきた。もう歩いて帰る気はすっかり失せてしまった。もう少し時間が早ければそこから世田谷線の軌道に誘われていたかもしれないし、あるいは川沿いに歩き気がつけば井の頭公園にいたかもしれない。

 散歩に出かけるのに計画はいらない。後のことを考えていては散歩はつまらない。

投稿者 uga : 03:32 | コメント (3)